題「プレステージ」
(原題"The Prestige")
2006年米 監督:クリストファー・ノーラン
主演:クリスチャン・ベール/ヒュー・ジャックマン
媒体:劇場
(あらすじ)
19世紀末ロンドン、科学が未だ魔法のような存在であり、奇術師という現代の魔法使いがNo.1エンターテイメントの時代。
同じ師匠から技を学び、同じイリュージョニストとしての高みを目指していた2人のマジシャン、アンジャーとボーデンの明暗はしかし、彼らがサクラとして行う奇術の事故をきっかけに分かれていく。
事故で妻を失い、真摯にイリュージョンに取り組むが栄光をつかめないアンジャーと、家庭を持ち独創的な奇術で人気を博すボーデン。
嫉妬に駆られたアンジャーはなんとしてでも彼の得意奇術「瞬間移動」のタネをつかもうと、自分のアシスタントをボーデンの許へ送るのだが・・・
(感想)
さてさて、「メメント」のクリストファー・ノーラン監督が、またもやひとクセある映画を持ち込んでくれました。
19世紀末の、現代と中世の名残の合いの子のような時代を舞台に繰り広げられるマジシャン2人のなんとも形容しがたい確執の物語は、衝撃のオープニングで観客を驚かせた後も二転三転し、その世界へとグイグイ引き込んでくれます。
とにかくこの作品を彩っているのは、興味深いシナリオというキャンバスの上に描かれる映像美、そしてその美しくも妖しい世界に生きる登場人物たちの色気ですね。
特に主役の2人、クリスチャン・ベールとヒュー・ジャックマンから漂う艶かしさといったらもう!ベールのナイーヴさを前面に出した雰囲気と、ジャックマンのワイルドさを抑えた振る舞いが新たな一面を見せてくれますねぇ。
キーパーソンの1人であるニコラ・テスラを演じるデヴィッド・ボウイもおヒゲがダンディな出で立ち!この人はホント幾つになっても瑞々しいなぁ(´_`*)
時間軸が交錯し、夢とも現実ともつかぬエンターテイメントの世界、その表と裏を見せてくれる2時間と少し。一見、超人的な能力を盛るマジシャンという存在の人間的な部分、その愛憎というのがおどろしくも美しい。
台詞の端々や役者たちの立ち居振る舞いはまさに奇術的な色合いを帯びていて、まるで映画それ自体がマジックのよう。
そう、この映画はただ奇術をモチーフにしたただけの映画ではなく、奇術的に構築された映画なのです。
だから普通の映画とは少し観方も魅せ方も違いますね。
是非、「騙されちゃって」下さい。あなたは、身構えた時には既にノーランの罠に片足を踏み入れているのですから―。