「マシニスト」
(原題"El Maquinista"、英題"The Machinist")
2004年西 監督:ブラッド・アンダーソン 主演:クリスチャン・ベール
媒体:レンタルDVD
(あらすじ)
眠れない---。機械工のトレバーは原因不明の重度の不眠症に悩まされていた。
1年間、一晩も眠れることができなかった彼の身体は痩せ細り、上司にもアルコールやドラッグの中毒を疑われるほどだった。
そんなある日、同じ工場で働いているという、溶接工のアイヴァンを名乗る男が現れる。
作業の途中、アイヴァンに気をとられていたトレバーの不注意により起きた事故で、同僚が左腕を失ってしまう。
その時にトレバーはアイヴァンという男は工場にいない・・・それどころか名簿にすら載っていない、ということを聞かされる。
いよいよ白い目で見られるトレバー。不眠症に加え、身の回りで不可解な現象が起こることに戸惑うトレバー。
その時。職場を出ていった赤い車-それはアイヴァンが乗っていた車-を視界に捉えたトレバーは、次の瞬間それを追ってアクセルを踏んだ。
(感想)
秀逸なプロット、不気味な映像世界、ベールの鬼気迫る演技、全てが高い水準で構成された怪作。
この作品の為に極限まで体重を落としたベールの体躯も凄まじいのだが、それ以上に淡々と進んでいくのに片時も目が離せない、そんな感じのストーリーテリングの素晴らしさが印象深い。
果たしてトレバーの周りで何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか、何が起こったために彼は不眠症になったのか。
解けそうになると手をすり抜けて逃げてしまう謎。サスペンスであり、ホラーの要素も含みながら、人間のドラマ(「人間ドラマ」ではない)という一面も含んでいる。
なおかつそれらが互いに足を引っ張り合うことなく、作品の中で見事に融合している。
今大作さんが勝手に作った「この映画がすごい!賞」を総ナメにした感じだ。
「太陽の帝国」に始まり、「リベリオン」とこの「マシニスト」という代表作を手に入れることになったベールは、まことに名優としか言いようがない。
とにかく観てください。こんな凄い映画を観ないのは、とってもとっても損としか思えません!!(おすぎ風に締めッ。)