題「イット」
(原題"Stephen King's IT")
1990年米 監督:トミー・リー・ウォレス 主演:リチャード・トーマス
媒体:レンタルDVD
(あらすじ)
メイン州の田舎町で図書館に勤めるマイクは、地元で子どもが相次いで失踪・死亡する事件に興味を持っていた。
ある日新たな犠牲者の出た現場付近を歩いていると、彼は親友の一人・ビルの弟の古い写真を見つける。
確信を持った彼はかってこの町にいた親友6人に電話をかける。
「IT(それ)が戻ってきた・・・」電話を受けた者達の脳裏に甦る記憶。
それはかって彼らが立ち向かい、倒した筈の怪物の呼び名・・・
(感想)
エルム街の悪夢+スタンド・バイ・ミーって感じ?
劇中死ぬ人間の数はそう多くは無いものの、神出鬼没で主人公達を恐怖に陥れる”IT”の怖さもさることながら(しかもピエロメイクにたくさんの風船と言ういでたち!)、子供時代の主人公たち7人の友情と他愛もない遊びの記憶、それが美しい。
様々な影を抱えながら、友達と居る時、その時には決して笑顔が絶えなかった時代。
周りにあるものはなんでも遊びの素材だった時代。何もかもが光り輝いていた時代。
皆でいれば、どんな恐ろしいものにでも立ち向かえた時代。
その子供時代の記憶のフラッシュバックによってさらに強調される、大人になった彼らの成長と喪失、そして恐怖への屈服。
スティーブン・キングの映画化作品というのはヒットしなかったり、キング本人が不満を表明したりしているものが多い(「スタンド~」と「グリーンマイル」ぐらいがヒット作・本人も納得か)が、これはよく出来ていると思う。
さっきも書いたが人はあまり死なないし派手な死にかたもしてないので、外国製のスプラッタ・ホラー系が好きな人には物足りない事請け合いだろう。
じわじわと精神的に追い詰められるタイプの(「リング」のような)映画が好きな人に良いかと。