題「キングダム/見えざる敵」
(原題"The Kingdome")
2007年米 監督:ピーター・バーグ
主演:ジェイミー・フォックス、アシュラフ・バルフム
媒体:劇場
(あらすじ)
ワシントンDC。小学校で参観日に息子の姿を見守る父親や母親たち。
その中にはFBI捜査官フルーリーの姿もあった。
携帯の呼び出しに驚くフルーリー、聞かされたのはサウジアラビアでの無差別テロの情報だった。
犠牲になったのは石油会社に務めるアメリカ人たち。襲われた外国人居住区には、家族も大勢いた。そして時間差を狙った止めの一撃に、FBI捜査官の命までも奪われた。
政治的配慮から現地での捜査にストップをかける司法長官だったが、フルーリーは脅迫ギリギリの方法でサウジ大使を介し5日間の現地調査にこぎつける。
フルーリー、爆破の専門家サイクス、法医学者のメイズ、情報分析官のレビットの4人はサウジに赴き、サウジ警察の監視の下捜査を始めるのだが・・・・・
(感想)
いやーはっは、マイケル・マンが関わったプロジェクトにハズレはないですね。
彼が製作総指揮であり、脚本はマシュー・マイケル・カーナハンにピーター・バーグが監督と無名といっていい若い2人だが、マンが彼らの才能を見抜いたか、はたまた引き出したのか、誰も彼もが素晴らしい仕事をしてます。
撮影のフィオーレは「トレーニング・デイ」「アイランド」を手がけ、写実的な映像が物語に真実味と迫力を与えている。しかもその中で演じているのがジム・フォックスやクリス・クーパーといった実力のある俳優たち・・・文句なし!
プロットとしてもある意味展開的には王道なんですけど、その中のセリフの1行1行や登場人物の一挙手一投足が物語に深みを与え、観る者の心に深く刻み込まれていきます。
前半の静かな敵・・・・「サウジ人の無理解、文化的相違、進展しない捜査」から一転、徐々に互いを分かり合い、信頼しはじめたFBIとサウジ警察に待ち受ける真の敵、テロリストの戦い。その一気にテンションが加速し、緊張感を保ったままラストまで疾走する展開の妙はお見事。マイケルマンイズムとも言えるリアリティのある銃撃戦、男たちの友情、そして信念の戦い・・・この映画のキモはここにあるといっても過言ではないですね。
ポッポコーンを食べる暇も与えませんよぉ!?
そして物語もたけなわとなったラスト、胸を打つ、そして考えさせられる一言・・・・ハリウッド史上に残る印象深いラストシーンだ、と俺は言ってしまいたい。
一体正義とは何なのか・・・誰の正義が、絶対的に正しいといえるのだろう?
そんなメッセージを内包した、それでいて政治的に傾いてもいない、熱い男たちの映画です。